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週に数度会社やの会合へ顔を出以外は、ほぼ家に居て、家政婦さんを雇い食事や洗濯をしているそうで、そのうち家で食事などできる範囲で私がしていってくれたらという条件だった。
私のため、広い屋敷の一部をリフォームし、車も与えられ、今いる通いのお手伝いさんをそのままにするという条件で、迎え入れてくれるという話だった。
大した家柄でもない私達一家には勿体ないような話で、父の小さな会社は当然お付き合いのあり、会ってみればもうこちらから断ることはできなかった。
結婚すると心配していたほど苦労も無く、苦手な家事はお手伝いさんに教わりながら義父と夫好みを覚えながら食事を用意する毎日は、それなりに覚えることも多くて充実していた。
夫は最初、私を珍しがり良く抱いた。だが田舎娘に次第に飽いて、隠していた遊び人気質が顔を出し、次第に、夜、出かけることも増えて行った。
外界と孤立し、頼る人がいない生活で次第に「夫に追い出されるかもしれない」と眠れない夜など不安と寝がえりを繰り返していた。
実家の両親は、この結婚を単純に喜んでくれていた。
それに小さな町ではしがらみも繋がりも多く旧家に嫁に出したことで実利面でも随分羽振り融通も利くようになっていた。
帰りたい、と思っても幸せを願う両親には悩みを離せずにいた。
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