自己犠牲は正義か

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オレと美優が付き合い初めて、三ヶ月が過ぎた頃に、美優の母親が失踪した。 美優は母親がいなくなったことがわかると、一番最初にオレに電話してきた。 「圭介、私、もうどうしていいかわからないの。 お母さんは、私に何も言わずにいなくなって、どこにいるかもわからないの」 オレは美優が泣きながらそう言うのを聞いて、 直感的に美優の母親は、二度と美優のところには帰ってこないだろうと思った。 美優の家には、多額の借金があり、厳しい取り立てもされている。 オレは美優が心配だった。 「泣くな、美優。 今すぐお前のところに行くからな。 だから心配するな。 美優にはオレがついてるから」 オレはその日の仕事を途中で抜け出して、美優のアパートに向かった。 今のオレには、美優よりも大切なものは何もなかった。
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