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文化祭自体も無事終了し、生徒達は楽しかった思いをそれぞれの胸に込めながら宴の片付けを始める。
それは緊張から開放された私も同じで、先輩から片付けの為にゴミ袋を職員室から取ってきてくれ、と頼まれ足早に職員室に向かう途中、とんでもないものを見てしまった。
嘗てはホストだったとか、女子生徒にまで手を出している、とかそういう噂までたってしまう程女癖が悪いと有名な若手教師、緋野秋秀と、あれは確か…2年で一番美人と有名の先輩だっただろうか、キスしてるのを見てしまった。
二階の渡り廊下から辛うじて見えるか否か、というような場所でたまたま目に入ってしまった。
動揺のあまりその場から足がすくんで動かない。
―その時、ふと顔を上げた緋野先生と目が合った気がした。その瞬間一気に現実に引き戻され、正気に戻る。
「ゴミ袋…!」
有り難くも頼まれ事を思い出した私は、その場から逃げるように職員室に向かった。
「小道具ケース分け終わったよ~」
「OK、そっちの片付けはもう終わった?」
「撤収完了しました!」
「あれっ、ゴミ袋は?」
職員室でゴミ袋を貰ってきて運動が苦手ながらも、全力のスピードで部室に帰ると殆ど片付けが終わりかけていた。
「お、遅くなってすみません!ゴミ袋貰ってきました!」
ガラッと扉を開けて部室に飛び込む。緋野先生の事件?を目撃してしまい、少し遅くなってしまったかなと後悔する。
「詩翠さんありがとね~!大丈夫よぉ!」
衣装担当の先輩が屈託なく笑いながらゴミ袋を受け取りに来てくれた。
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