四季恋*序章

8/10
前へ
/10ページ
次へ
実は少しだけ心に引っかかっていた事がある。 夏稀さんにも言い出せなかった事だ。 先生がキスをする前に耳元で小さく呟いた、 『ごめんね、春子ちゃん。』 『赦して』 という言葉が、私の脳裏から離れてくれない。それと同時に疑問が出てくる。 どうして先生は私の名前を知ってるのか。 他の女性には平気でキスをするのに、わたしにキスをするときに謝ったのか。 そして、私の心の奥底で疼くこのなんとも言えない苦しい感情は何なのか。 何もわからないまま、私はそっと誰かに―緋野先生に―初めてを奪われた唇に触れていた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加