第1章

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「ここにいたんだ」 安堵した声に肩を震わした。恐る恐る振り返ると、幼馴染の渉がいた。 背後から差す月光は彼を突き抜け、私を無情に照らす。淡い月明かりに照らし出された彼は、どうしようもないくらいに綺麗で。私は思わず、見惚れた。 「最後に会えて、良かった」 その言葉の意味するところを、私はすぐに導き出した。嫌なことに対する勘は、鋭い上によく当たる。良い加減に覚悟をしなくてはいけなかった。 「そっか、もう会えないんだね」 「いや、また会えるさ」 そう彼が悪戯っぽく笑った瞬間だった。彼が光を放ったかと思うと、徐々に光の粒子がその体から溢れ出した。それらは全て、空へと吸い込まれるように消えていく。 「またな」 「ーー待って、」 しかし、遅かった。彼は思い出したかのようにVサインを残し、弾けるようにして消えた。試合でも良くやってたあのポーズ。 「ーーまたね」 私も一人繰り返し、そう呟いた。
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