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倒れ込んだ清掃員は後頭部を通路に打ちつけたにもかかわらず、痛がる素振りも見せずに立ち上がり、サラの方へ両腕を伸ばし掴みかかって来る。
サラは両手で握りしめているモップを力一杯振り回し、清掃員の頭の側面に叩きつけた。
清掃員はモップを叩きつけられた衝撃で、通路の隅に吹っ飛ばされる。
モップの柄が3分の1程の所で折れる程の力で殴ったにもかかわらず、清掃員はまた何事も無かったように起き上がろうとしていた。
それを信じられないといった表情で見つめるサラの右上腕を、後ろから誰かに掴まれる。
振り返ったサラの目に、首から血を噴出させたメリッサ先生の姿が映った。
「先生! 大丈夫なのですか!?」
サラが先生に声をかけた時、先生はサラの腕に噛みつこうとする。
サラは左手でメリッサ先生の頭を押さえ、先生の身体を自分の身体ごと通路の壁にぶち当て、先生の手を振り解く。
先生の腕を振り解いたサラは、周囲を見渡す。
そこには人が人を襲い、襲った人が襲われた哀れな犠牲者の肉を噛み千切り、頬張り、飲み込んでいる光景があった。
サラは彼女に掴みかかって来る清掃員とメリッサ先生の手をかわし、新生児室に向け走る。
新生児室の前でも、詰め所の前と同じ光景が広がっていた。
新生児室に走り込みドアを閉めて周りを見渡す。
床に同僚の看護師マリリンが、血塗れで倒れているのが目に入る。
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