発病

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交代の医師や看護師が来ないため、勤務している者達は交代で休息を取っていた。 ただ、交代の者が来ないので疲労は溜まるが、通院患者さんも来院しない事もあって、何時ものてんてこ舞いする程の忙しさでは無い。 通路から死角になる産婦人科看護師詰め所の奥で、コーヒーを飲んでいる時だった。 窓の外を見ながらコーヒーを飲むサラの耳に、何かが倒れる音とエマの「ちょっと、大丈夫!?」と言う、問いかけの声が聞こえて来た。 死角から顔を覗かせ通路の方を見る。 すると、ケンが倒れておりエマが心配そうに声をかけていた。 サラもそこに行こうとした時、ケンが何事も無かったように身体を起こす。 エマの反対側から産婦人科医のメリッサ先生が、ケンに声をかける。 「大丈夫ですか?」 ケンは返事を返す事も無くメリッサ先生の方へ向くと、右手でメリッサ先生のショートカットの髪を鷲掴みにし、左手で先生の白衣の襟を掴み、メリッサ先生を自分の方へ引き寄せると、その首筋に噛みつき肉を噛み千切った。 「ギャァァァァ――――」 頸動脈を噛み千切られ、断末魔の悲鳴を上げるメリッサ先生。 「キャァァァァ――――」 「ヒィィィィ――――」 メリッサ先生を助けようとする人達、その場から遠ざかろうとする人達。 現場は大混乱になった。 詰め所の中でサラと同じく惨劇を目撃した同僚が、警備員室に電話をかける。
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