プロローグ

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「准将! 包囲網は整いましたか?」 背広姿の男が陸軍の准将に声をかけた。 「ああ、隔離目標から半径6キロ以内を封鎖した。 しかし、良いのか? 目標内部には感染していない民間人が、まだ、多数残っているのだろう?」 「仕方が無いのです。 発病した奴ならともかく、感染者と非感染者の区分けは、時間がかかる血液検査しか手が無いのですから。 その検査をしている間に感染者が発病したら、包囲する範囲が、少なくとも町全体に及ぶことは間違いありません」 「感染してから発病するまで、最低でも24時間はかかるというのは面倒だな?」 「ええ…………。 時間がかかる血液検査以外では、発病者が襲うか襲わないかで、調べるしかありません。 しかし、危険な発病者を隔離するだけでも、一苦労ですからね。 ところで、封鎖状況はどうなっています?」 「そちらの指示通りに封鎖した。 5キロの阻止線で、阻止線内側から外に出ようとしている者を全員拘束。 6キロの阻止線以内を立ち入り禁止にし、外部から侵入した者は全員拘束している。 5キロ以内の掃討作戦は、君の指示待ちと言ったところか」 「では、待ちましょう。 感染者が発病したとの連絡を」 その時、男の部下が手にしていた無線機越しに会話したあと、男と准将に、無線機越しに送られて来た内容を報告する。 「CDCからの連絡で、感染者の発病が始まったとの事です」
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