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バシィィ――――ン!
窓枠に左手を乗せ外に向けて右腕を伸ばした男の頭が、音を立てて消失する。
男が右腕を伸ばしていた先にはヘリコプターが飛んでいて、狙撃手が赤外線映像装置付きスコープを備えたバレットM82A1を構え、次の目標物に狙いを定めていた。
頭を消失させた男がいた建物は、10階建てのかなり大きな病院である。
病院の周りを多数の軍用車が取り囲み、上空には多数のヘリコプターが飛び回り、病院を封鎖していた。
病院と病院の周囲は、軍用車の屋根やヘリコプターの機首に取り付けられた投光器に照らし出され、真夜中だというのに真昼のような明るさになっている。
病院の屋上、建物の外側にある2ツの非常階段の各階のドアの前、1階や地階の出入り口前、幾つかの窓の外には、完全武装の兵士達が、突入の合図を待って待機していた。
兵士達の身につけているヘッドセット越しに、突入の言葉が指揮官より伝えられる。
「作戦を開始せよ」
屋上のドアや非常階段の各階のドア、1階や地階の出入り口が開け放たれると共に、幾つかの窓が叩き割られ、チーム毎にまとまった兵士達が次々と病院内に突入。
その突入した兵士達に向かって、助けを求めているのか腕を前方に突き出し、うめき声を上げる人々がゆっくりと近寄って来る。
兵士達に近寄って来る人々の大半の人達は、顔や腕など服から露出している身体のあちらこちらに、肉を噛み千切られた跡があった。
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