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眼下に広がる夜景は、カップルが放つ幸せオーラだ。頭上の降るような星空は、想いが叶わなかった涙の結晶。
なら、中途半端にこの場所にいる私は?
「……リア充爆発しろーっ!」
階段の頂上で片手メガホンして叫んだ私は、気が抜けてその場に座り込む。抱えたハートの箱がずしりと重みを伝えてくるけど、もう放り投げてしまいたい。
「すげぇ、ホントに叫ぶ人いるんだ」
そんな声に驚き、おそるおそる振り返った。今の聞かれたの? 時代遅れだった?
「俺も彼女欲しいなぁ、バレンタインとか地獄だよ」
「いつも女の子といるじゃないですか、先輩」
先輩。大好きな先輩……。
「だって、イイトコまでいくとなんかうまくいかなくてさ」
「だって、嫌だもん」
「あのポルターガイストやっぱりお前か」
……ごめんなさい。
「俺にくれるんだろ、それ」
自殺なんかするんじゃなかった。
「……一年前のチョコです」
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