先輩はどうして、私に声をかける時、ピースしてるの?

2/2
前へ
/2ページ
次へ
眼下に広がる夜景は、カップルが放つ幸せオーラだ。頭上の降るような星空は、想いが叶わなかった涙の結晶。 なら、中途半端にこの場所にいる私は? 「……リア充爆発しろーっ!」 階段の頂上で片手メガホンして叫んだ私は、気が抜けてその場に座り込む。抱えたハートの箱がずしりと重みを伝えてくるけど、もう放り投げてしまいたい。 「すげぇ、ホントに叫ぶ人いるんだ」 そんな声に驚き、おそるおそる振り返った。今の聞かれたの? 時代遅れだった? 「俺も彼女欲しいなぁ、バレンタインとか地獄だよ」 「いつも女の子といるじゃないですか、先輩」 先輩。大好きな先輩……。 「だって、イイトコまでいくとなんかうまくいかなくてさ」 「だって、嫌だもん」 「あのポルターガイストやっぱりお前か」 ……ごめんなさい。 「俺にくれるんだろ、それ」 自殺なんかするんじゃなかった。 「……一年前のチョコです」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加