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「とりあえず、1度目の鐘が鳴るまで、分かれて建物内を調べましょう。彼女の居場所が分かれば、あとは1日掛けて交渉すれば良いだけです。
もしもどこにも見付からないとしても、日が出ている時間帯に1度表に出て、階上がどこにあるのか確認してから、その辺を重点的に調べればいいのですから」
リーガルの提案に反対する者はいなかった。
城の外周確認は翌日の日中、明るい時間帯に行うことにして、まずはホールにあった4つの扉、その先を分かれて捜すことに決定する。
「それでは、ここの通路はリュードに任せてもよろしいですか?」
「ぼっ、僕ですか?」
リーガルに指名され、リュードは瞬きをする。
「はい。ここは客室ですし、通路自体もあまり距離があるものではありません。彼女がいる可能性も低いと思います。
ですから、早めに終わらせて、シダーの抑止力になっていただければと」
要は、シダーが勝手に暴走して、建物を破壊しないように見張りをしてくれというものらしい。
よく本人が目の前にいるのに、簡単にそんなことを言えるものだと、リュードは恐る恐るシダーの様子を探った。
シダーはリーガルの話に怒ることもなく腕を組みながら、ジェイと2人で、どの扉を選ぶかの相談をしていた。
「……それから」
と、リーガルはリュードに耳打ちする。
「シダーは私達を危険な目に遇わせないよう、独りで謁見するつもりのようです。ですから、もし、シダーがフェリ様の居場所を把握した際は、私達に知らせに来てもらいたいのです」
「シダーさんが……ですか?」
そんなこと考えるはず無い。しかも、相手はリーガルさんなのに。
そう言い掛けて、リュードは口をつぐんだ。
あり得ない話……じゃあないかも。
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