第13章 【時の回廊】

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人の間を縫って、食べ物のある場所へと近付くと、リュードは小皿に取り分けられている肉の皿を手に取った。 香ばしい鹿肉のローストに、甘辛いたれが掛けられた、見るからに美味しそうな料理だ。 誰も自分を見ていないことを確認すると、リュードは素早くその肉を頬張る。 ……ふぉっ、う、うまぁ~い!! 思わず浮かんだ涙を袖で拭き、リュードは口一杯に含んだ鹿肉を咀嚼する。 さすが神の祝賀会。 鹿肉であることを忘れさせる甘みと柔らかさ。癖のある匂いさえ風味のひとつとして構成され、更に、添えられた甘辛のたれが、噛むごとに肉の脂身と絡み合って、独特の旨味を引き出している。 柔らかな肉の端々にさくさくとした食感があるのは、恐らくみじん切りにされた玉葱だろう。変則的な歯応えが、歯と舌の上で繰り広げられるワルツのように…… 「いやあ、今年は特に盛大ですなぁ!」 「ぐひゃあ!?」 ぼんと肩を叩かれ、リュードは潰された蛙のような声をあげて飛び退いた。 肩を叩いた張本人である、やや小肥りな紳士がそれを見て、傍らにあった、ジュースの入ったグラスを差し出す。 奪い取るように受けとると、リュードは息をつかない勢いで、それを飲み干した。
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