第13章 【時の回廊】

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紳士が革の仮面の間から成り行きを見守る中、リュードはけほけほとむせながら胸をさする。 「あっ、ありがとうございました……」 「いやあ実に旨そうに食べているものだから、つい声を掛けてみたくなってね。邪魔したようで済まなかった」 「いえ。僕の方こそすいませんでした。こんなに美味しいもの食べたの初めてで……」 そこまで言い、リュードはしまったと口をつぐんだ。 これでは、ここへ来るのが初めてだと言っているようなものだ。 しかし、紳士は楽しそうに微笑むと、リュードに別の肉が載った小皿を差し出した。 「そうか、まあ君は若そうだから無理もない。私もパーティーに呼ばれるのは、まだこれで3回目でね。そう多くはないんだ」 「そうなんですか?」 「フェリ様と違って、リサ様はこう言った祝い事が好きではないだろう。ここだけの話、どうやら今回はフェリ様が無理を言って始めたらしくてね。いつパーティーが中断されるか、私はずっとハラハラしているんだよ」 「リサ……様」 リュードは目一杯考えを巡らせた。 話の内容から推測するに、今日のパーティーは“フェリ”ではなく、“リサ”のパーティーだ。 この屋敷に居る、リサという名の神。 しかもその神は、フェリ神よりも力があるらしい。 「あの……僕、フェリ様にお逢いしたいんですが、どこにいらっしゃるかご存じですか?」 「ははは、フェリ様は不在だよ。今はリサ様がいらっしゃるんだから」 問い掛けのような台詞を言って、紳士はさも当然と言わんばかりに笑った。 リュードがジョークでも言ったと思ったらしい。
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