第13章 【時の回廊】

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「えっ、もうこんな時間ですか?!」 控え室に入る前、ここの柱時計を確認した時は夜の9時過ぎ。そこから部屋で話をして、廊下を駆けるように調べたから、さほど時間は経っていないと思っていた。 あと1分で、皆が集まる時間だ。 でも、ここ以外に時計が無いからだろう、見渡すホール内には、まだ誰の姿も見えない。 「失礼します!」 「おいおい、どこに行く気だい?」 皆を呼ぶために駆け出そうとしたリュードの肩を、紳士が掴んだ。 「あと1分じゃないか。ここで待っていたらどうだい」 「えっ、でも……」 「ほら、見たまえ」 紳士が柱時計を指差すと同時に、銀色の長針が真上を指した。 ゴオオオーーン……! 長く重い鐘の音がひとつ、ホール中に鳴り響いた。 「「おめでとうございまああす!!」」 ホールにいた誰もが拍手をして、歓声をあげた。 割れんばかりの拍手にぎょっと肩をすくめ、リュードは慌てて辺りを見渡す。 「なっ、何があったんですか……?」 「ははは、見たまえ、リサ様がいらっしゃったよ」 傍らに立つ紳士が、ホールの中央に向かって視線を向けていた。
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