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ホールは中央だけがスポットライトのように照らされ、そこに、大きな孔雀の羽の仮面を被った女性が立っていた。
長くつややかな金髪は頭上で高く纏められ、ドレスは鮮やかな深紅。
身体のラインを隠すというより、むしろさらけ出すかのような、胸元の開いた際どいドレス。
金の刺繍のついたレースのスカートは、女性が動くたびにキラキラと眩く輝いている。
「リサ様、御誕生日おめでとうございます!!」
「誕生日……?」
紳士につられてリュードもぱちぱちと拍手をする。
紳士はリュードに向かってにっこりと笑うと、何度か頷いてみせた。
「そうさ。今日はリサ様の生誕パーティーだよ。私もこれが4回目だから、そう詳しくはないんだが、これから沢山食べ物や飲み物が出てくるようだから、楽しみにするがいい」
「そうなんですか……」
食べ物と言われて、リュードは腹の辺りを擦った。
そう言えば、引っ越し準備やら何やらでばたばたと忙しすぎて、ろくにご飯を食べていなかった。
……そのはずなのに、どういうわけか、お腹はあまり減っていない。
緊張しすぎて空腹感が無くなってしまったのかと、リュードは自分を納得させた。
「このパーティーはいつまでやるんですか?」
リサが姿を消し、騒ぎ始めた招待客を見回しながら、リュードは紳士に問い掛けた。
紳士は革の仮面の隙間からニコニコとリュードを見つめながら、「気が早いなあ」と語りかける。
「なに、そんなに長いものじゃないよ。日付が変わるまでさ」
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