第13章 【時の回廊】

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何で、どうやって、自分はここに来たんだろう。 思い出そうとするたび、隣の紳士が語りかけてくる。 「…………うう、なんで、僕……」 「決まっているじゃないですか、リサ様の誕生日パーティーですよ」 「…………そう、ですよね……」 紳士は革の仮面の下から、じっとリュードの顔を見上げている。 リュードが口を開けば、すぐに紳士の会話が割り込んできて、うまく喋り続ける事などできない。 「…………リサ様の……ううっ……」 頭の中が紳士の声で一杯になり、リュードは思わず両手でこめかみを押さえた。 記憶が押さえ込まれる。 だんだん何も考えられなくなって…… 「…………おかしいな」 頭を振り、リュードはホールを見渡した。 隣で笑みを作る紳士に笑い掛けると、ぎこちなく頭を掻く。 「パーティー、ずっと楽しみにしてたはずなのに、忘れちゃってました」 「ははは、いや、思い出せて何よりです。さあ、飲み直しましょう。といっても、未成年はジュースですがね」 「相変わらず固いなぁ。ちょっとくらいいいじゃないですかー」 紳士が差し出したジュースを受け取ると、リュードは浅く頭を下げた。 腹の中で燻っていたわだかまりは、すっかり成りを潜めていた。
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