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時の女神フェリならば、ある程度の会話を想定していたのだが、年端もいかない子供が相手となれば話は別だ。
第一、この年頃の子供に何を言ったところで、理解してはくれないだろう。
それ以前に、リーガル自身、勝手に屋敷に入り込んだ不法侵入者だ。最悪、不審者として家の者に捕まってもおかしくはない。
「おーい、何黙ってんだよ」
目に見えて狼狽えるリーガルに痺れを切らしたジェイが、幼女とリーガルの間に割って入った。
視線の高さを揃えるため、ベッドの傍らに跪く。
「オレの名前はジェイ。ここに住んでるフェリちゃんに用事があって来たんだ。どこにいるか教えてくれないか?」
さすが日頃から女の子の扱いに慣れているだけあって、ジェイがすらすらと話し掛けた。
ジェイが何の躊躇いもなく頭を撫でると、指はふわふわした髪の毛の中に埋もれた。
力強く撫でているわけではないのに、幼女の頭がジェイの手の動きと共に揺れる。
ここはジェイに任せようと、リーガルは数歩後ずさった。
「フェリ……」
幼女はその名を繰り返し呟く。
「そ。キミの姉さんなのかな。オレ達は別に危害を加えに来たワケじゃない。頼み事があってさ」
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