第13章 【時の回廊】

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「頼み……ごと」 何を喋っても、幼女は言葉を反芻するだけだった。 焦り始めたリーガルとは逆に、ジェイは少女の様子に対して、別段感情を変えることもない。 「……所で、キミの名前は?」 不意に語りかけの切り口を変えて、ジェイがそう言った。 少女はしばらく黙り込んだ後で、縫いぐるみを抱く手にぎゅっと力を込める。 「…………リサ」 やがて、少女は上目がちにジェイを見ながら、そう呟いた。 「ふうん、リサか。可愛い名前だな」 ジェイが言うと、少女は頬を染めながら、縫いぐるみに顔を埋めた。 「あれ……?」 幼女の頭を撫でていた手を引き。 ジェイは、伏せられた少女の顔をまじまじと見つめ直した。 「……いや……まさかな」 何かの匂いを感じ取ったのだろう。 ここへ来るまで、ジェイはこの屋敷が持つ奇妙な感覚に困惑していた。
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