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「どうしましたか?」
「ん。なんでもないよ」
再び元のように微笑むと、ジェイは言い掛けた言葉を止める。
「フェリちゃんは、ここにはいないの」
俯いていた少女が、ようやくぽつぽつと喋り始めた。
「フェリちゃんは、リサがキライなの」
「いないとは、どういうことですか?!」
ぷうと頬を膨らませるリサの前に立ち、リーガルは問い掛けた。
「っ!?」
突然の問い掛けに驚いたリサが、弾かれたように傍らの枕を掴んで、毛布の中に埋もれるように隠れる。
「脅かすなよ」
「いえっ、そんなつもりは……!」
非難するようにジェイが見上げ、リーガルも慌ててジェイと並んで屈んだ。
「すみません。怯えさせてしまいましたね」
屈むと同時に、背負っていたオーリーンが揺れ、乾いた音をたてた。
毛布の隙間からリーガルの顔を見つめていたリサは、あっと声をあげて、羽毛布団を撥ね飛ばす。
「リサの剣!」
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