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止める暇もなく、リサはぴょんとベッドから飛び降りると、柄を握ろうとしてリーガルの背中に手を伸ばす。
「これは危ないですよ!」
まさに剣に触れようとした所で、リーガルは立ち上がり、飛び付くリサを手で制した。
「あーっ!」
未練がましくリーガルに手を伸ばして跳ねていたリサは、やがて諦めると、再びぷうと膨れる。
「どうしておにーちゃんが持ってるの?それリサのー!」
「…………ジェイ」
オーリーンから視界を外さないリサに困惑して、リーガルはジェイに助けを求める。
ジェイは「さてね」と肩を竦めると、部屋の中に他の場所へと繋がる扉等がないか、ぐるっと見渡した。
同一色で塗られた壁に不自然な継ぎ目などは見当たらなかったが、この部屋へと来た時の事を思い出し、2人は念のため壁に手をついて、隠し扉や、隠し階段が無いかを調べ始める。
「それリサの!リーサーのーだーよー!!」
まるで子供のアヒルのように、リーガルの後方をリサが付き従っていた。
「……困りましたね」
一通り隠し扉の有無を調べ終わった2人は、また元のように部屋の真ん中へと戻っていた。
ここで行き止まりだった事か、あるいはリサが付きまとっている事か。
どちらともとれるような落胆した口調でリーガルは呟く。
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