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「ま、まだ廊下は奥に続いてたみたいだし、先に進もうぜ」
待ち合わせ時間を気にしてか、ジェイは切り替え早くそう言って、さっさと入口へと向かって歩き出す。
リーガルもそれに続こうと踵(きびす)を返したが。
「だーめっ、おにーちゃんは剣を返してくれるまでここにいるのッ!」
リサにベルトを掴まれ、ぐいぐいと引かれる。
その力自体はさほど無いが、やはりリーガルはその手を払い除けることができずに動きを止めてしまった。
「……リサさん。申し訳ありませんが、この剣はお譲りすることができないのです。何か代わりの物ではいけませんか?」
強行突破を断念したリーガルは、次に懐柔を始めた。
リサは首が飛んでしまうのではないかというくらい激しく首を横に振ると、再びオーリーンに触れようと手を伸ばす。
「おっと!」
リサの目の前で屈んでいたリーガルは慌てて立ち上がった。
「元々リサのだもん、あげたりしないもん!」
「そんなこと言わないでください…………参ったな……」
どうあがいても無駄だと分かり、リーガルは黒髪をくしゃりと掻いた。
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