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「……分かりました、そこまで仰るなら、この剣はお返ししましょう」
リサに根負けしたリーガルは、諦めてそう言うと、再びリサの前に屈んだ。
ぱあっと笑みを浮かべるリサにつられて自らも微笑みつつ、リーガルはリサの両肩に手を置く。
「ですが、貴女はまだ子供ですから、誰か大人の方……ご両親か、あるいはフェリ様でも構いません。その方に、本当にこの剣が貴女の物なのか伺ってからにしましょう」
「リサ、ウソつかないもん!」
「この剣は、大切な方からの預かり物なのです」
再び膨れるリサを宥め、リーガルは申し訳無さそうに続ける。
「ですから、貴女にお渡しする前に、きちんと大人の方に説明しなくてはならないのです。リサ、いい子ですから、分かってくれますね?」
「…………ん。リサ、いい子」
少し眉をしかめながらも、リサは小さく頷いた。
「アススはいないから、フェリちゃんでいい?」
「アスス?それに、フェリ様はここにはいらっしゃらないのでは?」
リーガルの問い掛けに、フェリはこくんと頷く。
「ここにはいないよ!向こうにいるの!」
「向こう?」
「うん!」
「この部屋にはいないって意味だったんじゃねえの?」
戸惑うリーガルの背後からジェイが言い、リーガルは成程と相槌を打つ。
「それでは、フェリ様の所に案内していただけますか?」
「こっちだよ!」
フェリはリーガルの手を取ると、先程2人が来た道を戻り始めた。
「へぇ、なかなか女の扱いが巧いな」
冗談混じりにジェイが言い、リーガルは渋い顔になる。
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