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例えリサが嘘をついているのだとしても、これでフェリに会うことが出来る。
「で、ホントにこの子の物だって?」
「まさか。これは私が以前、ドラゴン討伐のために賢者様から譲り受けた物です」
「…………へぇ、あいつからねぇ」
ジェイが、含みのある笑みを浮かべる。足取り軽く屋敷を進んでいくリサの後ろをついて歩きながら、リーガル達はリサと共にホールまで戻ってきた。
「あいつ、何やってんだ」
ホールの様子に気が付いたジェイが指差す方向には、壁面に置かれた椅子に伏して、イビキをかいているリュードの姿があった。
ジェイが肩を揺すると、惚けたように笑みを浮かべたリュードが、伏していた椅子からずるりと崩れ落ちる。
「ふぁ……ひぇいはん、りーかうさん……おはようこさいまふ……」
「こんな所でナニしてんの」
「ナニってパーリーれふよ」
「…………酔ってんな」
呆れたようにジェイが言い、靴先で、リュードの脇腹を小突く。
リュードはジェイの行動に腹をたてる様子もなく、椅子に頭をのせて「ふぇっふぇ」と気味悪く笑った。
「リュードはここに置いて行きましょう。帰りに起こせば良いのですから」
「そーだな」
リーガルの提案にジェイは頷く。
「正直こいつを連れていったって得じゃねーしな」
リュードを放置する事に決めると、リーガルはリサに「行きましょう」と促した。
リサはホールを行き交う人々の様子を窺っていたが、やがて、興味など無さそうに歩き始める。
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