勇者爆誕

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俺は花も恥じらう男子高校生。が、こんな真昼間から大して好きでもない音楽を聴きながら自室で優雅に小説を読んでいた。 学校に行かなくていいのかって?あんな所に行くくらいなら死んでやると親に言い放って部屋にこもって既に半年が過ぎていた。 「つまんない小説だな……」 丁度主人公が2人目のヒロインを口説き落としたところで、手に持っていた小説を放り投げた。 空腹を感じた俺は部屋の扉を開けると、床にはおにぎりと数種類のオカズを載せた皿がラップに包まれ置かれていた。 ベッドに寝転び、おにぎりに齧り付きながら新しい小説を手にする。 食って遊んで寝て食って、それを繰り返すこと早半年。 両親と最後に会話を交わしたのも一ヶ月も前のことだっただろうか。色々あったといえばあったが、大した事ではないので割愛する。 端的に言えばこのまま行けばニートまっしぐらという事だ。 「……それも悪くないか」 そんなことを呟くと、その言葉を批判するかのようにガタガタと窓を風が叩いた。 現在とんでもないカーブを描きながら、日本列島直撃の今世紀最大(笑)の台風が向かって来ているらしい。 身体を起こし窓に目をやると、なかなかの土砂降り模様だった。まあ俺には関係ない。だって外に出ないんだもの。
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