第1章

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「で?渡したのかよ?」 幼馴染がチョコを渡すと意気込んでいたので俺は「頑張れ」と背中を押した。 部活帰りに階段で俯いているのを見かける。 手にハート型のチョコがあった。 「渡さなかったのか?」 頷く 「何で?」 「怖かった」 「どうすんだ?」 「自分で食べる」 そう言うもチョコの封を解かず、イラついて背中を蹴る。 「痛い!」 涙目で睨むが見下し怒鳴る。 「いつまでも逃げるな!何年目の片思いだ?毎年意気込んで結局渡さない」 「…でも」 「いい加減ぶつかれ。叶わぬ恋と思うなら初めから作るな」 そう言って階段下を見せると目を丸くする。 「いい加減渡せ。フラれたら笑ってやる。成就したら祝ってやる」 そう言い背中を押すとこっちを見てニッコリ笑う。 「ありがと」 階段を駆け下りるのを見送ると夜空を見上げて歩き出す。 「月が綺麗ですね」 返事は返って来ない。
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