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「で?渡したのかよ?」
幼馴染がチョコを渡すと意気込んでいたので俺は「頑張れ」と背中を押した。
部活帰りに階段で俯いているのを見かける。
手にハート型のチョコがあった。
「渡さなかったのか?」
頷く
「何で?」
「怖かった」
「どうすんだ?」
「自分で食べる」
そう言うもチョコの封を解かず、イラついて背中を蹴る。
「痛い!」
涙目で睨むが見下し怒鳴る。
「いつまでも逃げるな!何年目の片思いだ?毎年意気込んで結局渡さない」
「…でも」
「いい加減ぶつかれ。叶わぬ恋と思うなら初めから作るな」
そう言って階段下を見せると目を丸くする。
「いい加減渡せ。フラれたら笑ってやる。成就したら祝ってやる」
そう言い背中を押すとこっちを見てニッコリ笑う。
「ありがと」
階段を駆け下りるのを見送ると夜空を見上げて歩き出す。
「月が綺麗ですね」
返事は返って来ない。
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