古いテレビ

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古いテレビ

 夏休みに家族でじいちゃんの家に行った。  そこで弟が小さなテレビを見つけた。 「えー? これがテレビ? 小さいのに分厚くて、変なの」 「ブラウン管テレビって言うんだ。昔はみんなこれだったんだぞ」  父さんの説明を、弟はワクワクした顔で聞いている。  知識としては知ってるけれど、俺もブラウン管テレビの実物は初めて見た。特に、こんな小型のなんて映像とかでも見たことがないから、本当に珍しい。 「これってまだ見られるの?」 「うーん…もう無理なじゃないかな。チューナーがついてないからデジタルは受信しないし、そもそも型が古いから、もう映らないと思うぞ」  そう説明され、弟はさも残念そうな顔をした。それでも諦めきれないらしく、今度はばあちゃんの所へ行く。 「ばあちゃん。向うの部屋にあるテレビ、俺、もらっていい」 「え? テレビって、あの、小さいブラウン管のかい?」 「うん。あれ」  あんなのどうするの。もう映らないよと周りが言うが、弟は言い出すときかない性格だ。  結局、どうせ放置している物だし、さして大きくもないから、飽きるまで玩具として遊べばいいということになり、ブラウン管テレビは弟のものになった。  小さな子供でも軽々運べるサイズだ。持ち帰るのも苦じゃなくて、弟はそれを兄弟の相部屋に持ち込み、ともかく楽しげに弄り回していた。  そんなある日。  家に帰ると部屋からテレビの音がした。  弟がテレビを見てるのか。そう思い、通りすぎかけた瞬間、気づいた。  俺達の部屋にテレビはないぞ?  部屋にもほしいって何度も言ったけど、小学生同士の部屋には不要だと、却下され続けている。だからテレビの音なんて子供部屋から聞こえる筈がない。  そう考えている最中に気づいた。  テレビなら、弟がじいちゃんの家からもらってきた奴があるじゃないか。
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