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彼もきちんと、二両くらい向こうに入ったのを確認して、きちんと扉の近くに収まった。
財布を追いかけて無賃乗車。また、横に流れていくばかりの青や黄色をぼんやりと目に収めながら、おりた時にどう捕まえてやろうかボクは思案しなければならなかった。
電車の中は誰も騒ぎ立てる人もなく、みんな個人的世界に収まって小さくなっている。何を考えていても詮索しないし、無賃乗車も咎められない。ボクは本当は、なくてはならないものを追いかけてのんびりしているはずなどないのに、そういう人間の体温の中で、また景色を眺めていた。
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