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あーあつい
クーラのない公民館とかやべぇっしょ
汗だくの城Tシャツをパタパタと揺らしながら、
おれはミンミンと鳴くセミたちの求愛行動を公民館二階の窓から覗き、買ったばかりのコカコーラを飲み干した。夕焼けがきれいだ。
「あー!! わたしのコカコーラは?!」
「わり、売り切れてたわ、水道水で我慢してくれ」
ピシャリと和室のふすまが開いた。
同時に聞こえてくる可愛げの溢れたロリボイスで颯爽と現れた少女。白いワンピースを揺らして激怒プンプンするこの''小さな巨人''がおれの師匠である。
平丸愛佳(ひらまるあいか)
18歳、どうみても中学生にしか見えない容姿なのだが、ツルペタ、うん、かわいい。
「おい!!」
「なんですかー平丸さーん」
「いま失礼なことを考えただろう??!」
「なんでわかった!?」
顔を膨らませておれの胸もとをポカポカと殴る平丸、胸もその調子で膨らむといいな。かわいい。
「牛乳は飲まんぞ?! ぜったいじゃ!!」
こいつはもしかしたら
エスパーなのかもしれない。
「お主の顔を見とったら分かるわ!!」
で、具体的に何の師匠なんですかと問われると、小説の師匠なんですと、言わなければならない。まぁスマホで小説を書いているんだが、
これがなかなかうまくいかない。
結果、かつて全国大学模試で国語平均180点台を叩き出していた文系エリートゥのおれは目の前にいる、
いいや腰の下に居られる偏差値48程度のどこの馬とも知れぬ平凡な高校に通っている七歳も年下の現役プロ小説家に師事をしてもらっているのだ。
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