第1章

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「最悪だ…この世の終わりだ…」 呟いた言の葉がはらりはらりと、落ちて行く。 誰も受け止めてくれないし、勿論掃いて捨ててもくれない。 お気に入りの玩具が壊れた時。最後に残していた苺を地面にこぼした時。行きつけの店が閉店した時。そんな、そんな、どうしようもない寂しさが胸にこみ上げては、言の葉を追いかけるように零れ落ちる。 足元で溢れ始めたそれをバシャリと跳ね飛ばして1人、反響が耳に届いた。 おい お い 何が最 悪 だ 不自然な響きは直接耳には入らない。1度以上どこかにぶつかっているのか、単語の間にすら間隔が空き、非常に気持ちが悪い。 「だって、最悪だろう」 「これ以上ない程に」 「僕が作り上げたのに」 「僕が“創り”上げたのに」 声を発する事が辛い。今や世界は…“この世”は、僕の息一つで崩れ落ちてしまうまで瓦解していた。 最初 かr a 無 理だと 知 っ て たくせ に カラカラと声が笑う。 ガラガラと世界が崩れる。 「最悪だよ」 なんだ 泣 いて い るn o か よ 「泣いてないよ。僕に涙腺はないんだから」 そりゃあ そうだ! 笑いを含んだ声が、一段と耳を刺激する。先程より直接的に、僕の世界に影響を与えない程度に木霊する。 ああ、でも、泣けたら良かった。泣きたい気分だから。僕の創った感情豊かなあの生き物のように、声を上げて喉を震わせたかった。 一瞬、白く瞬いた世界は、それを最後に完全に崩れ落ち、やがてサラサラと中空に溶け出した。 何度見ても、この最期は呆気なく、虚しすぎると、また胸に寂寥感以上のものが溢れる。 バシャン。 溢れた無色のそれに、勢いよく何かが飛び込んできた。 よお。 創造神 何度やっても懲りねえな。 世界なんて、俺が壊すまでもなく、 崩壊を辿る。 何度創ろうとな。 …最悪だよ。君のせいじゃないのは分かってる。 君(破壊神)のせいに出来たらどれほど良かったのにと思える程、最悪だ。 「さよなら。もう聞こえてないだろうけど」
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