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ん?
眼下に街の灯りが広がっていた。
小学生の歩は一人寂しく外階段に腰掛けていた。ここからだとパパの帰ってくるのが見えるかもしれないから。
今日は、バレンタインデーだけど、友達の克己君も省吾君も、チョコをもらってくれなかった。
「何でお前からもらわなきゃいけないんだよ」
と言われてしまった。
大人なら、そんな意地悪を言わずに、もらってくれるかもしれないと思って、担任の先生に、渡そうとしたら
「学校に、チョコを持ってきたらだめだよ」
と叱られてしまった。みんな持ってきてるのに、と思ったけれど、歩は言葉をのみこんだ。先生は若くてかっこいいので、ちょっぴり本気だったのに。
もういいや。パパに渡そう。ほかの人がもらってくれなかったってことは、内緒にしよう。
それでここで待っていた。
背後に足音がした。
「彼女、何してるの?」
ぼく、男の子だよ? あ、そうだ、この人なら、もらってくれるかも。
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