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「(今年も、来てくれないの…)」
『やあ! ゴメン! 今回は来られたよ!!』
「もう! どーして去年は来てくれなかったのよ!」
あたしは嬉しかったの。でも、彼に毒ついちゃった…。あたしの眼から、涙がこぼれた…。
『書類上の手続きとか手間取っちゃってね…。次の日の夜になっちゃったんだよね…』
彼は照れくさそうに、頭を掻いている。
「…これ、作ったから…」
あたしはそっけなく、あたしの愛を彼に差し出した。
『…ああ!! ありがとう! すごく嬉しいよ!! って、取れない…』
彼は一生懸命にあたしの愛を掴もうとしているけど、掴み取れない。
「…へ、へーんだ! お相子よ!」
『来年はこころを込めないで作ってもらえないかな? …あ、あはは…』
そう、いつもの照れ笑いの彼の顔。受け取ってもらえなくても、あたしはすっごく満足なんだよ、幽霊さん。
―― おわり ――
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