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夜の街が一望できるそこを、
舞台に選んだ妹に感心した。
同時に、相手役が僕でないことが残念だ。
妹が振り返る。
僕を見て、がっかりしたのがわかった。
「チョコが冷たいと、心は暖かくなる。美味しいからな。
でも、妹が冷たいと心が痛くなる」
「意味わかんない」
「兄ちゃんにもわからん。
ま、温かくしなさいって事だ」
そう言って、
開封していたカイロを妹の額に貼り付けてやった。
抗議する妹を無視して、階段を下りた。
階段を下りたあと、メールを作った。
親友であり、妹の想い人。そいつに宛てたメール。
《星の詩は丘の公園で》
妹の名前は詩星(シホ)。それにかけた言葉遊び。
文章を作って、そこで指が止まる。
なぜだろう、気持ちが凍って結晶を作っていく。
鋭く、冷たく、美しい。
その気持ちを溶かしてくれるチョコは、
いつになったら貰えることやら。
ため息をついて、それから送信ボタンを押した。
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