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「乾課長、お電話入ってます」
週が明け、仕事納めを数日後に控えた平日の朝。
給湯室でコーヒーを入れる俺を飯山さんが呼んだ。
「森本先生からです」
「森本院長ですか?でしたら神崎くんに」
「いえ。あの、幸先生のほうです。課長に頼みたい事があるから来てくれないかって」
「……分かりました」
入れたてのコーヒーを手にのそのそとデスクに戻る俺を、飯山さんが追いかける。
本来ならば担当している営業を指名するところだが、どうやらそれを飛び越してのお願い事らしい。
「お電話代わりました。乾です」
チラチラとこちらを伺う飯山さんの視線を感じながらコーヒーカップを置き、電話を取った。
『環ちゃん』の名を出した事はさほど問題ではないようで、今日の彼女はいつも通り。
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