渡せなかったチョコレート

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 学園一のアイドルである唯は白いため息をついた。  まさか優太がチョコレートアレルギーだなんて、唯は今日まで知らなかった。 「私、ドジだなぁ」  渡せなかったバレンタインチョコを見つめ、泣きそうになる唯。  彼女の背後に影が近づく。 「ここにいたのか。急に逃げるなよ」 「雄太!? ど、どうしてここに?」 「チョコが欲しいからだけど」 「や、優しくしないで。チョコ食べれないんでしょ?」 「ばか。チョコは食えないけど、唯の手作りチョコは欲しいんだよ。ハズいから言わせんな」 「んなっ!?」  唯は顔を赤くした。何も言えず、口をパクパク動かしている。 「くれる、よな?」 「う、うん……」  耳まで赤くした唯はおずおずとチョコを差し出した。  雄太は受け取り、ほくそ笑む。
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