time

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ティムは1枚の紙切れを取り出し、男に見せた。 「僕らの世界にも、この世界と同じようにルールがあって、自分勝手に時を動かすことは出来ないんだ。"全て"は、神様が管理してるから」 この言葉から男は世界の仕組みを汲み取った。 つまり、この世界の全ては人々の空想だとされてきた【神様】が握っているという事を。 過去・現在・未来……。そして、自分の命までも。 今までの毎日は全て決められていたもので、努力して認められた事も、会社でも家庭での地位も自分で築き上げてきたと思っていたが、それも全部 神様のシナリオ通りだった訳だ。 愛する妻と出会った事も……。彼女と結婚し、二人の子どもに恵まれた事も。先週、家族で初めて海外旅行に行った思い出も……。今に至るまでの何もかもが……。 男は、"全て"に失望した。 「さぁ、どうする? 時間は、もう無いよ」 失意を抱いたまま、神様が作る毎日をただ生きていくか、それとも、ここで人生を終わらせるか……。 「神様も嫌な奴だな」 男は静かに笑った。ティムは、その表情に彼の答えを知り、悲しく微笑んだ。 「……サヨナラ、オジサン。いい結末を……」 時間は、再び動き出した。 あの少年 ティムも、そこにはもういない。 電車がホームへ差し掛かる。
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