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「よっ、こんな所に居たのか」
「何?私の事、笑いに来たの?」
「バカっ、ちげーよ」
姿が見えなくなった彼女を探しまわり、
やっと見つけたというのに、なんでこうなるのか。
彼は彼女の友達から聞いたのだ。
彼女が先輩に告白して、玉砕したと。
彼女が悲しむ顔なんか見たくない。けれど、
彼は内心喜んでいた。
なぜなら彼は……
「じゃあ、何しに来たのよ」
「そのチョコ、処分する人間が要るんじゃ
ないかと思ったんだよ」
先輩への想いも、今の悲しい気持ちも、自分が
全部食ってやる。その想いでここに来た。
だから、笑っていてほしい。
彼女の笑顔が好きだから。
「欲しいの?」
「別に、でも、捨てるの勿体無いだろ」
「……いいわ、あんたにあげる」
差し出されたチョコの箱を受け取る。
来年、彼女に自分の為のチョコを用意させる。
彼は心の中でそう誓った。
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