第1章

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「全滅…か…」  カフェのお冷を一気に流し込むと私はテーブルに突っ伏した。 毎日、毎日勉強した。鍛錬だって欠かした日はない。田舎の師匠の口添えで編入させてもらった学校では主席をキープし続けた。 数少ない友人に習って田舎なまりだって今は気づかれないほど消えている。なのに… 『適性無し』  目の前にかざした掌に重なるよう押され続けたスタンプたちが重なり浮かぶ。無表情に、あるいは薄笑いさえ浮かべて面接試験官たちは私の手に押していった。 「気を落とすなよアリーシャ。魔術を使う仕事は魔術騎士だけじゃないから」  友人ロジャーは慰めるように言うと、店員に「いつもの2人前よろしく」とオーダーする。かしこまりました、と頭を下げるウエイトレスにロジャーはウィンクを投げた。学校一有名な色男は外でも色々と忙しいらしい。 「そういうロジャーは入れたんでしょ」  その年によっては該当者無しの場合もある1級魔術騎士試験。所属騎士たちは皆、攻撃、防御、治癒の魔法を高レベルに使いこなし、他国からの攻撃から国を守る任に就く。人々の憧れ英雄たちの集う騎士団だ。狭き難関である試験に合格したロジャーは卒業後には晴れてこの1級魔術騎士見習いとなる。  昨日は朝から教師たちのがロジャー合格のニュースを自分のことのように自慢をしており学校中がお祭り騒ぎだったのだ。
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