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「チュンチュンッ」
…スズメか。朝か。
こんな廃れた場所にも朝は来る。
「しっかり朝ご飯は食べてるのかい?」
「バァーヤ、朝はゆっくり寝かせておくれ」
バァーヤは俺の隣にゆっくり座った。
「もうこのジャンクストリート暮らしも長いけれど、こんな場所にもお日さまの光が届くのは嬉しいね」
バァーヤは、しわしわの手で俺の手を握った。
何でバァーヤがジャンクストリートにいるのかはわからない。
このジャンクストリートでは人の過去に触れてはいけない。それが暗黙のルールだった。
「なぁ、バァーヤ?」
「何だい?」
「もうすぐ冬が来る。ちゃんと温かい格好するんだよ。」
「ネコは本当に優しいねぇ。ありがと」
バァーヤはクシャクシャの顔をさらにクシャクシャにさせてニッコリした。
「なぁ、ネコ!」
ハヤトの声だ。
「おまえも俺の睡眠を邪魔する気か?」
「おっ、バァーヤおはよ。あのさネコ、新入りが来たぞ!」
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