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「スパイ?私はスパイなんかじゃないわ!お願い、信じて!」
女の子は必死に訴えた。
でも答は決まっていた。
「信じて?悪いがお嬢ちゃん。世間の事は知らないが、ここジャンクストリートには『信じる』という言葉は存在しない。みんな心に傷を持った連中だ。仲間の人間しか信じれない。帰んな!ハヤト行くぞ!」
俺はそう言うとまた自分の家に戻った。
女の子は少しショックを受けたみたいだが、おとなしくあのビルへと帰っていったようだ。
「ネコ、ちょっと冷たいんじゃないか?」
後ろから着いてきたハヤトは寂しそうに言った。
「この場所であの子が生きてくのは無理だ。おまえにだってわかるだろ?」
「そりゃあ、まぁ…」
ジャンクストリートは夏は暑く、冬は寒い。
また、衛生的にもよくない。
上流階級のお嬢ちゃんがひょっこりスラム街に来てもすぐに死んでしまうだろう…。
俺なりの優しさだった。
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