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男がドアを開けると、階段に幼なじみが座っていた。
「…なにやってんの」
「見りゃわかるでしょ」
「風邪引くぞ」
「ばかは風邪引かないもん」
「確かに」
「ばかって言う方がばか」
「はいはい」
男は幼なじみの横に座る。
「うわっ!つめたっ」
冬の地面は冷たい。
「お前こんなとこにいたの?」
「文句あるの?」
「そんなミニスカートで、足出して」
「…別にいいじゃん」
「あれか。毛糸のパンツでも履いてるの?」
ぼかっ。
幼なじみは男をグーで殴った。
「何すんだよ」
「そういう話をするな」
「大丈夫、誰も聞いてないし
てか、ここをこんな時間に通るの、俺くらいだし」
幼なじみが顔をこちらへ向ける。
「違う?」
ニヤリと笑う。
「なっ…」
幼なじみの顔が湯気が出そうなくらい赤くなる
それを尻目に立ち上がる。
「で、今から俺は帰るけど、お前はまだここに居る?
それとも俺に送り賃としてチョコレートでもくれる?」
そう言うと
俺の胸に飛び込んできた。
小さな紙袋が。
「送り賃」
幼なじみがぽそりと呟く。
「どーも。」
素直じゃないけどわかりやすい
そんな俺の可愛い…彼女。
彼女の家の前、別れ際
「ホワイトデーは倍返しだからね」
そんな恐ろしいことを口走った。
でもそれって
ホワイトデーも会いたいってことだろ?
本当、わかりやすいんだから
お前の思惑なんか半分以上ばればれなんだよ
バレンタインだけに。
おわり。
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