第二章

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「私が誰であろうと関係ないはずだ。 だが、あれからずっと私を捜していたんだろう? どうだ、何か分かったことはあったか?」 こちらに手掛りが掴めていないのを分かっているかのように聞かれた。 なかなか良い性格してるね 「いえ。残念ながら、ないですよ」 冷静に返答する。 SとAランクのギルド員の資料を調べ尽くしたが、白い獣と戦うものなど誰もいなかった。 「やはりな。 学園に行きながら、総帝の仕事などしてたら時間もないだろうに」 ……今この人は何を言った? 学園に行っていることを知っているのは2人だけ。 外部に漏れるはずはない。 ローブの男への警戒が増す。殺気を出し、魔武器を構えた 「もう一度、問います。貴方は何者ですか?」 殺気を放ったとしても、彼は答えないだろう。 だが 知られてしまった以上、力づくでも聞き出すしか… 「……ふッ 自分の正体を隠すためとは言え、女1人も守ってやらなかったお前に話すことなんてないな」 驚き 言葉に詰まる 「なッ……それは…… いえ……貴方はあの場にいたという事ですか」 ……此処で取り乱す訳にはいかない。 気持ちを落ち着かせ思考する。 彼はあの時あの場にいたもの…… Sクラスの生徒か、捜してもなかなか見つからなかったローエル教官か? 「さぁな。あれだけ騒ぎになってたんだ。 窓からでも、見ればわかる」 確かに…。 「後は自分で頑張ってくれよ。 ルオン・ハーネスくん。それじゃあな」 いなくなるのは分かったが、後は追わなかった。 …これからどうするべきか まず、闇帝とマスターには伝えなくてはならない 《転移》 すぐに寮へと戻り、封魔具をはめてローブを脱ぐ。 「どうだった?」 エインに聞かれ、口を開いた。 「あのローブの男に会ったよ。 そして彼は…総帝がルオンであるという事も。 今日の使い魔召喚の時の事も知っていた」 静かに話す 「は?それならSクラスの中に居るって事か?」 首を振る 「分からない。 あれだけ騒ぎになってたら窓からでも見れば、わかると言われたよ。 Sクラスとは限らない……」 学園内と分かっただけでも大きな進歩だが… 「一体、誰なんだろうな」 教官や生徒この中から捜すのは難しい 「明日から注意して過ごそう」 「ああ。そうだな」 彼の目的はなんだろうか? 誰かに迷惑をかけることはしてない むしろ助けている 俺の正体を言いふらすような素振りもなかった まだ分からないことだらけか… _______end__
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