始まりは終わり、終わりが始まり

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勇者はその様子にため息をつくと、魔王の隣に座ってため息をついた。 ・・・今後のことを思うだけで鬱々としてくる。 まずは衣食住の宛がないこと。 まぁ衣は今着てるし、まだ大丈夫だ。 だが、食住に関しては問題があった。 自分が死んでいることが現在唯一のアドバンテージな以上、人間の村にいくことは論外である。 かといって魔族の村もじきに人間によって蹂躙されるだろうし、そもそも勇者である自分は彼等の天敵だ。無理だろう。 食は野生の獣や魔物を狩ればなんとかなるが、あてにはならない。暦の上ではもうすぐ冬だ。雪が降れば冬眠する獣も多いだろう。 それに、だ。 ズボンにくくりつけていた金貨袋はもちろん、諸々の道具や武具まで持っていかれているため、論外なことですら出来ないのだ。 「なぁ魔王、僕は人間を滅ぼしたいから力を貸してくれないかなぁ」 「ていうかお前は誰なのだ!城は燃えているし、お父さんは死んでるし!もう訳がわからないよ!」 魔王の言葉に理解が追い付かず、きょとんとした勇者。 しばらくして声をあげて笑いながら答えた。 「あはは!それもそうだね。僕はアキラ・イザヨイ。君の父親を殺した『不死の勇者』だよ!」 聞いた途端、不死の勇者という天敵に捕まっているという現実を知り魔王は絶望のあまり涙を流した。
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