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「ふーん。ダンジョンコアねぇ」
魔王城から離れた樹海の中、アキラは焚き火の前で魔王から奪った結晶体をつまみ上げ、眺めていた。
「うむ。超高密度の魔力の結晶体である。父上から授かるはずだった大事なものなのだ。だから返して」
「だめ」
一言で拒否された魔王は膝を抱えてショボくれていた。
魔力とは、ある種の万能エネルギーである。
それと同時に汚染物質でもある。
魔力の溜まり場には本来の生物は生息できず、逝き絶えるか魔物へと変貌する。
逆に魔物にとっては非常に心地よく、食事の代わりにもなるため集まるのだ。
気体だったり固体だったり液体だったり、形状はさまざまだがそれらは地中深くに存在し地殻変動により地上に露出する時がある。
そこには魔物が集まるため天然のモンスターハウスやダンジョンが出来上がるのだ。
それの濃度が高い結晶体を持つのは流石は魔王といったところだろう。
その魔王は勇者から取り返すのは無理と判断し回収は諦めた。
「で、勇者よ。どうするのだ?」
『私は非常にワクテカでございます。』
「・・・んん!?」
アキラでも魔王のでもない第三者の声が聞こえ首を傾げた。
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