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なんてことで終わることはなく、勇者は目を覚ました。
身体を起こし、辺りを見渡す。
あるのは魔王の死体のみ。
「生きて、いや、生き返った、のか・・・?」
自らが生き返ったことに信じられない勇者。
『不死の勇者』という通り名を持つ自らの能力は理解している。
死をトリガーに超再生が起きる不死能力。
頭を吹き飛ばされても、心臓を吹き飛ばされても、死ぬことが出来ない。
神により祝福として渡された呪い。
使用期限は魔王の命が尽きるまでだった。
自分が生き返ることこそ、魔王がいる証明。
が、魔王は今ここでその命が尽きて倒れている。
「あれ、本当に『僕たちの戦いはこれからだ!』だったのか」
勇者はそう呟き能力の矛盾に悩んでいたが、しばらく茫然としていたが突然顔を歪めて笑い始めた。
「あははははは!」
勇者は壊れたように笑っていた。
「痛かったなぁ。ゼル、スズカ、アルガ。痛い、痛い、痛い。心が、心がね。痛いよ。ふふ。壊れそうなくらいに痛いなぁ。これはもう仕返しするしかないよね。神様に遣わされた勇者を裏切るなんて、ダメだよね。壊してもいいよね。うん。」
独りで話し続け、なにかを決心した勇者は立ち上がり、辺りを探し始めた。
「魔王城なんだし、なんかないかなー。」
意味もなく辺りを破壊しながら歩き回る勇者。
玉座を蹴り飛ばし破壊すると、隠し階段を見つけた。
「ほう」
勇者は嬉しそうに笑うとその階段を降りていった。
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