第4話 ありふれた日常

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うちの雑誌は編集部も発行部数もサイズもすべてが小さめの月刊誌。 結婚系雑誌は売れないからってことで経費削減。 元々あるものを3か月前から編集長がひきついでリニューアルした。 それにともなって、私とゆい子がほかの編集部からひきぬかれたってわけ。 編集長はうちの出版社の中でも花形メンズ雑誌から異動になってきた。 その辺の経緯は謎なんだけど。 つまり私たちの編集部は結婚に興味がないゲイの編集長をひっとうに、結婚願望だけは人一倍の処女と不倫中の私が編集を勤めている。 よくよく考えてみるとすごいメンバーで作ってるな~。 この雑誌、本当に幸せな結婚に結びつくんだろうか? って懸念はさておき。 今日は編集部にちょっとだけ顔を出して午前中は都内の結婚式場の撮影がある。 いい匂いをさせた編集長がデスクでメールチェック中。 ゆい子は作業スペースでレストランのセレクト。 二人の間をぬうようにして荷物の準備をしているとカメラマンから到着のメールが入った。 今日、撮影に同行してくれるカメラマンは撮影をよくお願いしている高崎さん。二人に行ってきま~す、と声をかけて下で待機するカメラマンの車にのせてもらう。
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