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あとはワンメーターの距離をタクシーで私の部屋へと向かうのがいつものコース。
あっという間に家の前につくと2階にある私の部屋へ。カンカンカンと安い階段の音がなる。私たちは会話もなく部屋へと吸い込まれた。
電気をつけると1Kの狭い部屋。
出かける前ねぼけて朝の準備をしていた空気がまだそのまま残っている。
鍵を置いて上着を脱いで部屋に入る。
キッチンに置いてあるコーヒーメーカーで私は2人分のコーヒーを淹れた。
1Kの狭い部屋。雑誌や洋服が散乱しているけどお互い気にならなくなっている。いや。本当は気になってるかもしれないけどそういうそぶりは見せない。
くつろいだようにいつもの場所に座っている。
私がコーヒーをテーブルに置くとムツオは小さくサンキュっとつぶやく。
お互いほとんどだまったままコーヒーをすすった。
次はどっちがシャワーを浴びるのか。
言わなくてもお互いの動きでわかる。
暗黙のままムツがシャワーを浴びにいく。今回は彼が先。
私はタオルを準備して籠の中に入れる。
出てきたムツが籠のタオルで体をふく。
私は入れ違いにシャワーに入る。
私たちは自動ロボットのように。
何にも考えなくても自然と体が動いている。
ムツが設定するシャワーの温度はいつも熱くて一瞬我にかえる。
浴びながら今日一日の出来事がよみがえってきた。
そうだ。
突然、年下の男の子の屈託のない笑顔が浮かんだ。
え? なんで? 今、彼の顔が浮かぶ?
これからムツオと愛しあおうって時に。
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