第6話 心ならずも

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私は熱いシャワーで一瞬浮かんだ年下の蓮の笑顔を洗い流した。 タオルでわざと強めに髪をふいた。 ムツオは待ってましたとばかりに私を抱きしめる。 待って。今体ふいてるから……。 すべて言いきる前にキスで口をふさがれた。 湯冷めしたのかムツの唇は冷たかった。 それでも、情熱的にキスをしながらムツオは私を誘導してくれる。 畳に直接マットレスを敷いたベッドルームへ移動した。 ムツオ少しコーヒーの味がする。 それからベッドに倒れてムツ私の上にくると、順に、右のおっぱいもんで、乳首つまんでなめてころがして。 なんだか今日は頭で考えてしまって少しもきもちが盛り上がらない。 どうしてだろう?  そんな私とは違ってムツオはいつもの情熱で愛してくれている。 こたえたい、こたえてるふりならできる……。 ふりなら……。 いざ、しようとする、と。 何かがおかしい。 ピタリと閉まったまま開かない。 試行錯誤する。けどがんばりの甲斐なく入らない。 入れようとすると閉じてしまう。 あれ? あれ? どうしたんだろう。 おかしいな。入らないなんて。なんでだろう。 さすがにムツオも焦れたのか。 勢いがなくなってきたみたい。 なんだろう? どうしたんだろうね、今日は。 疲れてるのかな? そんな会話をしたよーな。してないような。 情熱の炎がだんだん弱まっていく。 あぁ。消えそう。 「今日はやめとこっか」 優しいなムツオの声。 ムツオはあっという間に脱いだ服をかき集めて着ると、玄関口で靴を履いた。 じゃぁまた、連絡する、とか、疲れてるみたいだから、ゆっくり休んでとか、 そんな言葉が頭の上を上滑っている。 私はただぼーっと玄関でムツオを見ていることしかできない。 ムツオが出て行った後、玄関の扉がゆっくりと閉まった。 ムツオとセックスができなかった。 今までこんなことってあったっけ? 思い出す余地もなく私は布団に倒れて、夢の中へと入っていった。
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