第15話 心が平衡を取り戻す

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「あら思ったよりひどくないじゃない。もっとブスになってるかとおもったのに」 スタバのアイスコーヒーをストローで吸いながら軽やかに笑う編集長。 余裕の物見遊山って感じで。でもそれがかえって救われる。 ま、いいんじゃない? おいしいものいっぱい食べられたんだし。 このまま10年も20年も進んでいかなくてよかったわよ。 ほんと不倫で40代に突入したら奪い取る方向にシフトチェンジしなきゃいけないんだから。あんたにその勇気はないでしょう? よかったじゃない。早いとこ結論出て。 まだぎりぎり間に合うわよ。け・っ・つ・こ・ん ははははっはははははっ。 って。そんなに面白いんだろうか。 この場にゆい子がいなくてよかった。 今日は朝からロケに行っている。少なくとも夕方までは帰ってこない。 それまではほらやっぱり見たことかって追撃をうけなくてすむ。 はぁ~。 そのまま編集長と中ページの打ち合わせにはいった。 ちょっと前まで歳の差婚って流行ってたけど。(いまも続いていると思うけど) ここに来て同級生婚ってのを改めて特集してみよう。 テーマは同級生婚。 学生時代からつきあい続けてそのままゴールインする人たちもいるし。 久しぶりの同窓会で新たな魅力をお互いに見つけあって結婚というパターンもあるだろうし。たまたま出あった人が同級生ってこともあるだろうし。 同級生、同い年って観点から結婚のストーリーを追っていこう、ページを構成していこうという企画内容だった。 編集長は打ち合わせを終えるとさっさと次の打ち合わせへ。 同級生婚の担当は私、ということになった。 私はさっそく何人か取材できそうな人を思い浮かべてリストにしていった。 取材内容を伝えて取材させてもらえるか交渉していくと何人かOKが取れた。 20代、40代、職場で出会った人たちいろんな同級生婚がある。 ある程度あたりと取材OK日を取り付けたら今度はカメラマンの手配だ。 さて。カメラマンをどうしようか。 そんなことを考えてたら13時を回っていた。 お弁当でも買ってこようか、どうしようか。 とりあえず外に出て決めよう。 やっぱり吉田屋のから揚げ弁当にしよう。 お弁当屋さんの列に並びながら、もっと今の自分にふさわしい弁当はないか念入りにチェック。 「鈴花!」 迷いのない確信に満ちたこの声。 よばれて振り返ると、けい子だった。
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