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どきりとする質問だった。
ぜんぜんとってない。
今はどこで何をしているのかわからないんだよね。
私もけい子も同じ高校だったから。光一とのことは彼女も知っている。
けい子の考え込むようなためらうような一瞬の表情に、私はまたどきりとした。
もしかしたら彼は結婚したのかもしれない。私の知らない光一の情報を知っているのかもしれない。
と思ったけど。今は聞きたくなかった。
私は話題を変えた。
そういえばけい子のところ旦那さんが浪人してるとはいえ大学の同級生なんだよね?
よかったら同級生カップル特集をやろうとしていて。
取材させてもらえないかしら?
いいわよ。でも私たちなんて普通すぎてつまらないんじゃないかしら?
秋刀魚を器用につつくけい子に、いやいやそれがいいんじゃない、と、急に編集者の顔を見せてみたり。
思わぬところで取材OKがとれてラッキー。
から揚げが一段とおいしく感じる。
「で、あの後2人の男とはどうなってるの?」
と、けい子も核心をついてくる。
私は愛人側のはかない気持ちを彼女に吐露した。
やっぱり不倫は険しくてゴールがなかったわ。
この5年はなんだったんだ!って結論にならないように、次にいきます。
「そうそう、結婚って悪くないわよ」
抹茶パフェを追加で注文するけい子、勝者の貫禄。
やっぱりかなわないわ~。
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